路地裏への曲がり角から、誰かが手招きしている。
薬指にはめているのは婚約指輪だろうか?
寄っていこうかと思うけれど、
今日は家に帰らなくちゃいけないから、
だから、今日はその手にさよなら。



またね、バイバイ。



マンホールの隙間から、誰かが手招きしてる。
私の半分くらいの小さな手のひらが泥だらけで、
寄っていこうかと思うけれど、
今日は早く帰ってきてねとお母さんが言ったから、
だから、今日はその手にさよなら。



さよなら、バイバイ。



廃墟の窓の割れ目から、誰かが手招きしてる。
しわだらけで爪にはあかのマニキュア。
寄っていこうかと思うけれど、
今日は夕方から雨が降るそうだから、
だから、今日はその手にさよなら。



それでは、バイバイ。



空き地の茂みの中から、誰かが手招きしてる。
とても力強そうで、二本しか指のない右手で、
寄っていこうかと思うけれど、
今日は読みかけの本がたくさんあるから、
だから、今日はその手にさよなら。



じゃあね、バイバイ。



そして私の周りは日が暮れる。
屋根の向こうは暗くなり、
私の足は闇の中。
今夜の空に月は無いそうだ。






私は既に部屋の中。
明かりで見えない窓の向こうで、誰かがこっちを見てる。
時折明かりで、その目が光る。
入れてあげようかと思ったけれど、
でも、ほら、眠る時間。






閉じそうな瞼をこすって・・・
部屋の明かりを消して・・・
暗くなった部屋の隅から、誰かが私を見てる。
だけど、諦めなさい。
私は、とても、眠たいの。



だから、明日まで、バイバイ。





戻りますね。



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